福岡地方裁判所久留米支部 昭和44年(ワ)80号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告水町和夫が被告水町良信の実兄であり且つ被告車の所有者であることは当事者間に争がない。<証拠>を綜合すると、被告水町和夫は八女市内で建設業を営むものであるが、久留米市内に自動車運転免許証を置き忘れてきたため弟である被告水町良信に被告車を運転させて免許証をとりに行かせたこと、被告水町良信は免許証をとつて帰る途中本件事故現場にさしかかつたが、自車進路前方13.3メートルのところに原告車が信号待ちのため停車しているのを認めたのでこのような場合直ちに急停車の措置をとり追突を避けるべきであるのに、ただそのうち信号がかわり原告車が進行すると考えて、速度を時速三〇キロメートル位に減速したのみで運転を継続したため停止中の原告車の後部に被告車の前部を衝突させたことが認められる。<反証―排斥>
以上認定の事実によると、本件事故は被告水町良信の過失により発生したことは明らかであるから同被告は加害者として民法第七〇九条により原告に与えた一切の損害につき賠償すべきである。一方被告水町和夫は被告車の所有者でしかもこれを自己のため運行の用に供していたものであるから、原告に与えた人的損害につき自賠法第三条により賠償すべきである。更に同被告は弟である被告水町良信を使用して自己の運転免許証をとりにやらせた機会に本件事故が惹起されたのであるから、たとえ弟との間に雇傭関係がなく一時的な使用関係にすぎなかつたとしても、使用者として民法第七一五条により原告に与えた物的損害につき賠償責任があると解する。(徳本サダ子)